アテネ五輪女子金メダリスト、ケイト・アレンの母国オーストリアで初となるワールドカップが開催されました。オーストリアの内陸に位置するこの街は、標高2,000m級の山々に囲まれており、非常に自然豊かなロケーションです。ウインターシーズンには、スキーのワールドカップの開催地ともなる街で、住民もスポーツイベントへの理解があります。トライアスロンのワールドカップでは、久々に都会の風景からこの森と湖を舞台にしたレース会場での開催となりました。
男子のレースは、この自然豊かなリラックスした風景とはうってかわり、非常にエキサイトな展開でした。まず、スイムは近年では泳力が拮抗しており、トップがスイムを終了して、40秒以内に50名の選手がなだれ込むという、選手にとっては気の抜けない展開となりました。佐藤選手は60番手でスイムをフィニッシュ。バイクに移り、ここで前につくことができれば、上位入賞はできたのですが、ここでつくことができませんでした。
一方バイクは、8周回のうち4周回目で、第一集団は50人近い大集団が形成されました。日本人のうち、山本良介選手(トヨタ車体)と杉本選手(テイケイ)は、このトップ集団に位置していました。佐藤選手と山本淳一選手はこのトップ集団と約1分20秒差の第2周団となり、非常に苦しい展開となりました。第2周団はトップ集団との差を縮めることができずバイクをフィニッシュ。この時点で事実上、上位入賞のチャンスを逃してしまいました。
ランに移ると、もうそれはランニング大会!50名一斉にスタート!って感じです。優勝争いは最後の200mまで4人で争われ、会場を盛り上げていました。トップがゴールして約30秒以内に15名の選手がゴールする、という非常にハイレベルな大会となりました。
日本人勢は、山本良介選手がバイクで数名の選手と一時逃げを見せるも、50人の集団からは、逃げ切ることができず、そのままランへ。しかし、バイクで足を使いすぎたこともあり、ランでは精彩を欠いて37位。杉本選手は、途中まで快調な走りを見せてくれましたが、後半失速してしまい36位。第2周団に位置していた佐藤選手は、バイクで足を使ったにもかかわらず、3周目まで30分台のペースでよく集中してました。しかし、4週目に急にペースダウンしてしまい、48位でゴール。そして佐藤選手と同じバイク集団だったベテランの山本淳一選手は、バイクから調子があがらず、ランに移ってからも精彩を欠き、69位でのゴールとなりました。(陶山) |