アジアのハブ空港であるインチョン空港近くで行われたアジア選手権。2014年のアジア大会の開催が(インチョンに)決まっており、観客も多いのかとおもいきや、まばらでアジアのレース独特のまったりとする大会であった。そんな中、崎本選手が良く集中していました。過去アジア選手権やドーハのアジア大会にて、そのまったりとした中から中国選手が飛び出して、気がついたら逃げ切られていた、という苦い歴史がJAPANにはある。しかし、今回はマークする中国選手がいない。しかも、オリンピアンの井出選手、庭田選手ら二人が、世界選手権(9/13)とのスケジュールの兼ね合いから欠場。実は、今回崎本選手は二人の欠場によるロールダウンでアジア選手権に出場できたのだった。
現地入りした日(8/26)は強風と雨で、レース当日の天候が心配されたが、なんとか回復。夏空とはいえないまでも、夏らしい天気となった。幸いキンキンに晴れなかったことが、崎本選手のランニングでの体力消耗を抑えてくれた。天をも見方にした気分だった。
レースは、16名でのビーチスタート。ケンズの選手たちと共にイン側を選んだ崎本選手は、海流に惑わされながらも、何とか先頭集団後方でスイムフィニッシュ。中島選手、土橋選手、高木選手と、韓国人2名を含んだ6名の先頭集団でバイクスタート。6周回のバイクコースは空港の外周道路を利用したコースのため、ほぼフラット。時より風が強かったようだが、今の崎本選手には関係ない。途中、何度か逃げを試みるが、誰もついてこれなかったようだ。まだ一人で走りきる力はない。後続は1分30秒遅れで上田選手と足立選手ら4名の第2集団がいたが、周を重ねるごとに10秒ずつ差を広げ、結局2分30秒の差をつけてランへ移った。序盤は高木選手と競り合いを見せたが、徐々に高木選手が後退。3km付近から独走態勢にはいった。ランコースはアップダウンのタフなコース。
後方からケンズのメンバーの粘りある走りや上田選手の怒涛の追い上げをマークしながら、なんとか逃げ切りトップでゴールフィニッシュ。2009年度のアジアチャンピオンを獲得した。また、若手土橋選手も粘り3位、そしてハードなコースにもかかわらず、34分50秒の驚異のラップタイムをたたき出した上田選手が2位にはいり、表彰台をJAPANが独占した。
6月末以降、1レース1レースで力をつけている。練習パートナーがいない中、レースが最高の
トレーニングになっており、良く集中したレースだった。
(陶山昌宏) |