季節が逆の北半球から来た選手たちにとっては、日差しの強さとともに、トライアスロンがまた楽しめるシーズンの到来に、熱いものを感じていたようだった。レース会場となったムールラバは、ブリスベンから車で北に約1時間移動した場所にあるリゾート地で1993年から毎年エリートの大会が開催されており、ワールドカップ開催は今年で6回目となる。
天候は晴れ。浜から海に向かってのビーチスタート。サーフィンが盛んな地区とあって、波も高く、自然を相手にするトライアスロンならではのオーシャンスイムとなった。崎本選手は中央左よりからスタート。干潮でスタートの号砲とともに約50Mはビーチランとなる。小柄な崎本選手は少し出遅れるが、問題なし。得意のピッチで徐々に追い上げ、トップから30秒遅れの11番手でスイムをフィニッシュ。前後に固まってバイクをスタートできたため、すぐにトップ集団を形成。この中に中島選手(ケンズ)、土橋選手(ケンズ)の日本人選手が入っていた。標高差が20Mほどの小高い丘を1箇所含む往復コースで、崎本選手は積極的に先頭集団の前方で展開した。しかし後続の集団につぎつぎ追いつかれるほど、先頭集団はそれほどペースがあがらず、結局20名ほどの集団でバイクフィニッシュ。ランニング勝負となった。私はランスタートから800M地点で待機。バイクからランニングへのトランジットで崎本選手は出遅れて、集団の最後尾からランニングをスタートした様子だったが、1周回目私の前を通り過ぎるときは、軽快なピッチで10番手で先頭集団で通過。そして折り返して戻ったときには8名の先頭を走っていた。思わず昨年の日本選手権(ランニングの序盤で自分でペースを作りすぎ、残り1周回で後退)の展開が脳裏をかすめる。しかし、走りは悪くない。持ち前のピッチを活かした終始安した走りで積極的に先頭を走る。2周目も7名の先頭集団の中でうまく走る。2周目の折り返して見えてきたときは1名脱落して6名、その中を落ち着いて走っている。そして3週目に入っても6名の中で崎本選手は走っている。しかも楽(ラク)そうに。そして折り返してきたときには2名で通過!そして、最終回先頭を走ってきたのは崎本選手。そのすぐ後ろに2名選手が追っている展開で残り2kmの私の前を通過。最後にラスト600M地点で崎本選手を見たときは2位で懸命に前を追っていた。3位との選手とは十分距離も離れていた。ほどよく粘った。そしてそのまま2着でゴール。積極的ないいレースができた。十分なスピード練習をつめていない中で、よく健闘した。表彰式では、トライアスロンが盛んなオーストラリアで日の丸が掲揚されたときは、正直私自身も身震いしてしまった。
(陶山昌宏)
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