天気は雲ひとつない快晴。温度計は32度を指していて、地中海気候特有の日差しの強さと、からっとした空気で、じりじり体温が上がるのを感じる。今回のマドリード大会から、2年間にわたるロンドン五輪出場資格ポイントがスタートする。日本をはじめ各国が最大3枠のオリンピック国別出場資格を獲得するべく、自国の精鋭をマドリッドに投入してきていた。
今回の出場者数は67名。ア本選手はスイムを左寄りのポジションからスタートした。305M先の第1ブイでは集団後方で展開するも、2周目にはいって徐々に順位をあげ、1km地点では10番手で通過した。難なくスイムは先頭集団でアップ。
7名の先頭集団でバイクをスタートした。そのすぐ後ろには20秒差で約10名ほどの集団が追っていて、結局2周目に入る時点で吸収。15名ほどの先頭集団を再形成し、その中に日本人はア本選手を含め2名が入った。先頭集団から30秒前後で、20名近くの第二集団が追いかける展開に。結局8周回のうち6周目にそのセカンドパックが先頭に追いつき、30名近くの大集団となる。道幅が狭いコースで大集団となったことに少し不安をしていたら、案の定目の前で2度の落車が発生。2度目はバイクフィニッシュ200M手前で、より良い位置取りでランニングに移ろうとする選手がラインを変更した為に発生したが、ア本選手は難をのがれることができ、ランニングに移った。
ランはスタート直後からハイペースとなる。日本人選手1名をはじめ6名が先頭集団を形成。ア本選手はスタート直後から顔が歪んで苦しそうだった。先頭集団についていけず、どんどん離されてしまった。2日前の試走では想像もつかなかった動きに、苦虫をかむ思いと16位以下であれば、無理をさせないでおこうかとも一瞬考えるほどだった。しかし順位は16番手前後を推移しているものの、懸命に走っている姿に、私自身応援に集中するべく切り替えた。後で本人に確認すると、腹痛だったようだ。時折、動きが良くなるが、ストライドが伸びなかった。
本人が一番悔しい思いをしている。ライバルが近くに見える中、10kmをよく走りきった。昨年は同コースで41分かかっているランニングもほぼ同条件の中、38分台で走れるまでに強化できている。今はできることを一つ一つ丁寧に取り組むことだけだ。
(陶山昌宏)
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