今回レース会場となった舞洲スポーツアイランドは、大阪湾の埋立地に建設されたスポーツ施設郡や野外キャンプ場を有する公園である。川島選手にとって今回は3度目のトライアスロン大会ではあるものの、エリートカテゴリーでのオリンピックディスタンス(スイム1.5km/バイク40km/ラン10km)は初めての出場になるので、今回のレースが本当の意味での「エリートレースのデビュー戦」だった。レース当日の気温は35℃を超え、昨年同様サバイバルレースになる事が予想された。
スイムはフローティングスタート(水面で立ち泳ぎをしながらのスタート)で、川島選手は有力選手が固まっている右側とは反対の左側からのスタートとなった。出場人数が12人と比較的少なかった為、バトルに巻き込まれることも無くスタート直後に体一つ分抜け出し、最初のブイを先頭で通過した。1周目の後半に先頭は奪われたものの、先頭の後ろにしっかりとついて、そのまま有力選手3名と一緒にスイムを終えた。
バイクは、トランジットでレース経験の少なさが原因となり他の3名からは遅れてしまい、単独の4位でスタートする事となった。2周目に入るところでコースを間違えてしまい順位を一つ下げ、終始5位を単独で走る事となり、バイク終了時で先頭集団との差は約5分半となっていた。レース後に本人から話を聞いたところ、トランジットで出遅れた事により気持ちに焦りが生じてしまい、バイクを終了する他のカテゴリーの選手に出された誘導員の指示を、自分に対して出されたものと勘違いしてしまったとの事だった。
アップダウンが激しくかなり脚に負担のかかるコースを、終始単独で走り切った事もあり、ランの状態が非常に心配されたが、1周目を終えて走ってくる川島選手の走りのリズムは良かった。水分補給やランニングフォームに関するこちらの指示にもしっかりと反応し、バイクパートとは逆にトライアスロンを始めて半年も経たない選手とは思えない安定した走りをした。
5周回のランも3周目に入り、4位の選手との差は約5分とかなりあった。舞洲でのレースは熱中症や脱水で、途中リタイヤしてしまう選手が多いと聞いていたので、まずは無事にゴールさせて1ポイントでも多くジャパンカップのポイントを獲得させる事が重要と判断。ラン後半なって表情もさすがに険しくなってきたので、追い込み過ぎず、給水所での補給を怠らずに最後まで落ち着いてレースをするように指示した。
結果は5位と、3位入賞という目標には届かなかった。しかも、レース後に過呼吸と軽い脱水で倒れてしまい、エリートでの初オリンピックディスタンスレースは、川島選手にとって現段階で早急にクリアしなければならない課題を痛感させられたレースとなった。しかし、バイク・ラン強化の目的で行った合宿の成果が、既に出てきていることも実感出来たレースでもあった。まだまだ初心者である川島選手は、レースでのどんなに小さい経験も、大きなレベルアップに繋がっていく経験となる段階にいる。これから必死で取り組まなければならない事も明確になったので、同じチームのメンバーとして出来る限りの協力をしていこうと改めて思った。
(平松幸紘)
|